つくば と 水戸で お茶の教室を運営する 楽知会 (主宰 石光宗眞) のブログから 国際交流に関する情報を "楽知会インターナショナル"として独立させました。日本の伝統文化・ 茶道 を紹介しながら 海外の方々との交流を試みる 楽知会の取り組みを発信していきます。
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鋭い視線をあびて、突然よみがえった過去の記憶・・・あれは ペストだったのか・・・
Mrs.Hebron の クシャミ
フランス語のHebron先生。 風貌は、白髪混じりのカーリーヘアーを上にのせ、大きく膨らんだスカートの下から細い足二本を 短く突き出して 立った姿は小ぶりのビヤ樽。 機敏という言葉とは縁遠い姿かたちで、肩を上下左右に揺らしながらアヒルのようにヨチヨチ学内を歩きまわるさまは 正にマザーグースのようでした。
16歳で初めてHebron先生に会った日の授業は、パリのレストランで いかにして料理にあったワインを注文するか・・・というもの。 教科書を参考に、二人一組でギャルソン役と客役に分かれて 身振り手振りもいれながら実践していると、教室中が賑やかなおしゃべりの渦に包まれました。
さすがに50年も前のことなので、何をどう言ったかまでは覚えていませんが、 そこにでてきた alors という単語を「発音が違う!」と何度も何度も言わされて・・・あげくのはてに 人差し指を1本立てた右手を顔の前で左右に大きく振りながら 「ツッツッツ!!! もういいわ・・・日本人には発音出来ない ってことが分かった!」とおっしゃいました。
次の瞬間、ひるむ私を後目に 体についたポケットというポケットをまさぐり乍ら、黒板左手の教室のコーナーにヨチヨチ パタパタ 走り込むと、やっと探し当てた 少し黄ばんで皺くちゃのハンカチを急いで口に当てがい、生徒には小さく丸めた背中を向けて「シュンッ・・・クシュン・・・」と音を消したクシャミを連発しました。
注文作業に余念のなかった生徒たちは一瞬静まり、教室の隅に冷ややかな視線をそそぐと “Bless you” “God bless you, Mrs. Hebron” とあちこちから 低くて無機質な声が聞こえてきました。
一方、クシャミを終えて体勢を立て直した先生は、バツが悪そうに “Excuse me, girls” と言いながら いつものアヒルの歩みで ゆっくり教壇に戻ってくると “Thank you. Thank you, girls. Carry on(続けて・・・).”
イギリスのクシャミ と 日本のクシャミ
この日の授業で、今思い出せることが “Vin blanc, s’il vous plait.(白ワインお願いします)”と“alors(それでは・・・)” だけということになると、ここで私が学んだことは 少なくともフランス語会話ではなくて クシャミ。
「ここのクシャミは日本のとは違う」と強烈な印象となって 頭に叩き込まれました。
日本では、体内に溜まったストレスを「ハ~~クショ~ン~~~~~」という響きに乗せて 全て吐き出すかのように クシャミをする人もいますからね。 明らかに違う!
イギリスでは人前でのクシャミは抑え込むべし : クシャミはマナー違反 : クシャミは嫌がられる : クシャミはダメ
クシャミをした人がいたら“God bless you(お大事に)” と感情を抑えて静かに声をかける
以上がその日 私が学んだ最重要事項となりました。
クシャミ と God Bless You
その後50年、周囲にクシャミをする人がいると、声に出すか、心の中での呟きになるかは別として“Bless you” と言い続けています。
時々「何故 Bless you なんだ・・・?」と思いますが、もはや反射になっていて 止めようがありません。
だって“Bless you” を直訳すると「神の御加護がありますように」という宗教的な意味なのに それを クシャミの時に限り「お大事に」という意味で使っているんです。 しかも例え見ず知らずの人であっても、クシャミをした人が そばにいれば 必ず“Bless you”と声かけをします。
誰かが咳をしても、チ~ンと鼻をかんでも、癌になったと聞いても、それに対する反応が“Bless you” と決まっているわけではありません・・・なのに いったい何故???
ペストだったのか・・・
それが、この新型コロナウィルスの騒ぎで「アッ! ペストのせいか」と突然ひらめきました。
「人の歴史は感染症との闘い」と言われますが、人類は6世紀、14世紀、19世紀と 3回のペストの大流行を体験しています。 中でも14世紀の世界的規模の流行では、8000万人~1億人もの人々が死亡したと推計されています。(その時の流行の中心となったのは、今もコロナで大変なことになっている イタリア北部で、ほとんどの住民が亡くなったそうです・・・ロミオとジュリエットの頃のヴェローナあたりも大変でしたよね)
その悲劇を象徴するかのように、 ヨーロッパの主要都市には ちょっと思い浮かぶだけでも、ウィーン、プラハ、ブダペストなど 幾つかのペスト記念塔がランドマークとなって存在しています。
50年以上もの間、深く考えもせずに クシャミに対しては“Bless you” と言い続けてきているのに、ここに至って初めて「ちょっと 調べてみようかな・・・」と思いたちました。
結果は「元々英語圏には、 クシャミをすると魂が口から飛び出して その隙間に悪霊が入り込むという 迷信が存在していたところへ、ヨーロッパで大流行した ペスト感染の兆候として クシャミを捉えるようになり “God bless you” がクシャミに対するお見舞いの言葉として定着した」とのことでした・・・今まで クシャミとペストとBless you を結び付けてこなかった私が おバカ・・・でも やっぱり クシャミは不吉の象徴 ; 嫌がられるものなんだ。
国際親善協会から 写真満載のアテネの業務報告を送っていただきました。
つくばの鞘の間に置いておきますので、ご覧下さい。
動画も作成なさったそうで、以下からご確認いただけます。
http://www.iffjapan.or.jp/about_jw/movie
動画には 当会 一番人気の お菓子作り が採用されています。
親善協会の どなたかが 「他の茶道のグループに笑い声などないのに、ここのグループは 皆が笑ってる」とおっしゃていましたが、確かに。 この動画の中にも 大きな笑い声が・・・儀式性の高い点前だけを "茶道" と思っている方がご覧になったら 「これ お茶・・・?」となるかもね。
アテネのお茶席で 通訳をしてくださった 藤塚明美さんから、12月11日に以下のようなメールを頂戴しました。 多くの方々のご協力を得て ジャパンウィークという文化交流が実を結んでいることに、改めて感謝を申し上げたいと思います。
日本をあまりご存じない方々が日本の伝統と現在を知るきっかけになり、同時に、私たち日本人が、未知の世界の人々や文化に出会うことにつながったら、このイヴェントに参加させていただくことに大きな意義があるのだろうと思います。
石光明子様
お疲れ様でした!!
お礼を申し上げたいのは私の方です。
お目にかかれて光栄でした。
昨夜大使公邸にてボランティアとして参加した人たちへの慰労会が開催されました。
118人に及ぶボランティアでしたが95名が参加しました。地方から来ていた方々も多く、
参加が難しいようでした。
大使はアテネでのジャパンウィークが大成功に終わったとしてとても喜んでおられました。
これも日本からお越しになられた楽知会はじめ多くのパフォーマーさんたちや
ボランティアのお陰と挨拶なされました。
ギリシャ人と日本との関係強化に繋がったことは一目瞭然で、
昨夜参加した多くのギリシャ人ボランティアの方々の笑顔が印象的でした。
改めて御礼を申し上げます。
これを機会にギリシャからお手伝いできることがありましたら何なりとお申し付けください。
東京五輪に向けて聖火の採火式、ギリシャ国内聖火リレー、聖火引渡し式と忙しくなりそうです。
東京五輪組織委員会への引渡し式ではパナシナイコススタジアム(第一回近代五輪が 開催された競技場)で
日本から来る150名の子供たちによるパファーマンスがエクザイルの演出により行われる予定です。
どうぞお元気で益々のご活躍をお祈りいたしております。
藤塚明美