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つくば と 水戸で お茶の教室を運営する 楽知会 (主宰 石光宗眞) のブログから 国際交流に関する情報を "楽知会インターナショナル"として独立させました。日本の伝統文化・ 茶道 を紹介しながら 海外の方々との交流を試みる 楽知会の取り組みを発信していきます。

ホームドクターの考察 : 新型コロナウィルス感染症

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ホームドクターの考察 : 新型コロナウィルス感染症

スペイン風邪から学ぶパンデミック
  
1918年から19年にかけて、人類史上最初となるパンデミックを引き起こしたのがスペイン風邪です。その被害は感染者が世界で6憶人、死者は3000万人とも5000万人ともいわれています。当時の世界人口は18億から20億人ですから、三人に一人が感染したことになります。その歴史を知ることは、現在パンデミックの状況にある新型コロナウイルス感染症の、今後の動向を予測する上で参考になると思われます。
   さて、スペイン風邪と言われますが、風邪ではありません。インフルエンザです。インフルエンザは通常の風邪と症状が似ていることから混同されがちですが、コロナウイルスに類似したRNA
ウイルスにより発症する感染症です。症状は風邪より重症で、高熱を生じ悪化すると肺炎や脳炎を併発して死に至ることもあります。しかも飛沫感染のため感染しやすく、毒性が強い場合は多数の死者を生じます。
 
スペイン風邪が流行したころ
  
スペイン風邪は1918年初めに、牧畜と農業を生業とする米国中西部のカンザス州で発生しました。3月ごろより感染が広がり始め、米国と欧州を中心に5月から7月にかけて最初の大流行を迎えます。8月に入り一旦収束しますが、10月から12月にかけて世界中で第二波の大流行を起します。最初の流行の後期にウイルスは変異して毒性を増し、ピーク時の致死率は2%を超え死亡者の多くはこの時期に亡くなりました。そして、翌1919年の2月から4月にかけて第三波の大流行があり、その後は季節性のインフルエンザの一つとなって自然に消失していきました。

スペイン風邪が流行した20世紀初頭には、病原体であるウイルスはまだ発見されておらず、感染の検査法、ワクチン、抗ウイルス薬、抗生剤など、医薬品はありません。本症に対する有効な医療手段は全く存在していませんでした。このためスペイン風邪に対して行われた唯一の医学的介入は、米国の一部の都市で行われた集会と移動制限、今の言葉で言えばロックダウンだけでした。

 
スペイン風邪の調査・研究
    1990年代に入り遺伝子解析の技術が実用化されると、大学に保存されていた感染者の臓器や、アラスカの永久凍土に埋葬されていた遺体を用いて、スペイン風邪の遺伝子解析が行われました。その結果、スペイン風邪の正体は、鳥インフルエンザに由来するA型インフルエンザ、HINI亜型であると判明しました。このウイルスの特徴は、季節性のインフルエンザよりはるかに感染力が強く、サイトカイン・ストーム(過剰免疫反応)により青年層にも死者が多いことです。他のインフルエンザ同様、スペイン風邪も高温多湿の時期には死滅し易くなります。しかし、スペイン風邪による最初のパンデミック時には、ウイルスの高温多湿に弱いという性質に関係なく、夏期にも大流行が発生しています。恐らく、集団免疫のない状態で生じるパンデミックでは、高温多湿という季節性因子は流行に大きな影響を与えないのでしょう。この事実は、今回の新型コロナウイルス感染症においても、今後の動向を予測する上で重要な留意点と思われます。


    現在、最も多く新型コロナウイルス感染による死者を出しているのは、米国ニューヨーク市です。スペイン風邪の時には、ニューヨーク市では1918年から翌19年3月にかけて、3万3387人の死者が記録されています。当時の同市の人口はおよそ300万人でした。この数字も今後の動向をみていく上で参考になると考えます。ちなみに、現在のニューヨーク市の人口は約900万人、5月7日の時点で死者数は1万9千人を超えたと報じられました。

スペイン風邪とパンデミック
    スペイン風邪についてまとめてみましょう。その本体は、A型インフルエンザHINI亜型、1918年にパンデミックを生じ、ほぼ1年の間に3回の大流行を起して収束しました。感染者数は当時の世界人口の1/3にあたる6億人、死亡者数は3000万から5000万人とされています。死亡率と死亡者総数から推定すると、実際の感染者数は10億人程度と算定されます。このことより集団免疫の観点からは、およそ50%の人が感染し免疫力を持てば、医学的な介入なしでもパンデミックは自然に収束すると考えられます。パンデミック対策として最も重要なのは、如何にして必要な集団免疫を得るかです。


新型コロナウィルス感染症の今後

世界の中の新型コロナウィルス感染症

スペイン風邪の経験から得られたデータをもとにして、新型コロナウイルス感染症の今後について予測してみましょう。スペイン風邪の流行パターンを参考にしますと、有効な医学的介入が為されなかった場合、新型コロナウイルス感染症は中国を除いた欧米などの主要諸国では3月から5月にかけて第一波の大流行、8月から10月に第二波の大流行、そして翌2021年の1月から3月にかけて第三波の大流行が起こる可能性があります。

スペイン風邪と異なり、今回はパンデミック対策として各国で医学的介入が行われました。最初に感染者の隔離が行われ、次に人の接触を制限するロックダウンが実施されました。ロックダウンは集団免疫の獲得、死亡者数、経済的損失の間にトレードオフを生じます。厳密で長期間のロックダウンを行えば、医療崩壊を防ぐことができ死亡者数は減少します。その一方、集団免疫獲得に長時間を要し経済的損失は膨大となります。ロックダウンの程度を軽く実施期間を短くすれば、迅速に集団免疫が得られ経済的損失も些少で済みますが、膨大な死者数を甘受せねばなりません。このため、主要各国においては、国情に応じて異なった手法の医学的介入が行われています。この結果、今回のパンデミックは第一波の大きな山が収まった後、国ごとに異なる様々なパターンの感染の山が、相互に干渉しあいながらだらだらと続き、必要な集団免疫が獲得される来年の春過ぎに収束すると予測されます。

現時点(20年5月初旬)で、欧州諸国と米国は大流行第一波の減少期にあります。恐らく、5月末から6月初旬にかけて季節的因子も追い風となり、パンデミックは一旦収束すると思われます。米国では抗体検査により、ニューヨーク州での感染率が調査されました。この検討では州全体で14%、ニューヨーク市では21%の感染率と報告されています。これが正しければ、大流行をきたした欧米諸国では第一波の収束時点(6月ごろ)には、20~30%程度の集団免疫が獲得されている可能性も考えられます。

日本における新型コロナウィルス感染症

我が国は実施が遅れていますが、時間のかかるPCR法に加えて、より迅速かつ簡便に診断が可能な抗原検査や抗体検査も導入され始めました。これらの診断検査により、患者の層別化ができます。その結果、感染者の病態により無症状、軽症、中等症、重症に分けられ、効率的な診療が可能になります。無症状者には隔離と観察、有症状者には病状に合わせた診療を行うわけです。また、十分な数の抗体検査を実施することにより、正確な集団免疫の獲得状況が把握できます。

さて、4月末には、治療薬の臨床治験が、ほぼ終了しました。わが国でも、5月初旬にはレムデシベルが、続いてアビガンの認可が決まりました。認可後には、経口薬のアビガンは軽-中等症者に、注射薬のレニデシベルは中等-重症者に投与されます。つまり、スペイン風邪と異なり流行第一波の後期より、ある程度有効な治療薬の投入が開始されます。治療薬により死亡者数が減少すれば、人人間の接触制限の解除に繋がり、必要な集団免疫を得るまでの時間が短縮されます。

パンデミック収束の決め手となるワクチンの開発は、すでに中国、米国、欧州で臨床治験が開始され、先行する中国では量産化も始まったと報道されています。早ければ、流行の第二波が危惧される9月には医療関係者を対象としてワクチン接種が開始されると思います。21年の1月から2月には、一部の国では一般国民を対象としたワクチン接種が実施されているでしょう。

収束への予測
    今後の予測です。第一波の大流行の収束と治療薬の大規模な投入開始により、5月中旬から6月にかけてロックダウンの解除が徐々に行われ、経済活動の回復も急速に進んでいくと思われます。また、アビガンなど治療薬の効果で重症化する感染者数が大幅に減少すれば、国民の罹患に対する過度の恐怖心も和らぎ、前倒ししたロックダウンの解除が可能になります。接触制限の緩和に従い感染者数は増加しますが、収束に必要な集団免疫率により速く到達できます。医療関係者へのワクチン接種開始が予測される秋口には、わが国でも特別措置法による指定感染症認定が解除され、新型コロナウイルス感染症は季節型インフルエンザと同等の取り扱いになっているかもしれません。 以上より、今回の新型コロナウイルス感染症は大規模な第二波、第三波の大流行を生じることなく、来年の春過ぎには収束すると予測します。                                                               

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